ある女性研究者の日記 :A Journal of a Female Researcher

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大学教員は「総合職」と痛感する、遅咲きの文系研究者です.静謐な環境が欲しいと思う今日この頃。。。

カテゴリ:読書録( 66 )

時間に余裕のあるGW中ならでは紹介できる本.この本はよく新聞の広告にでていて興味があったが,図書館でみつけて借りてきた.一気に読む.

感想.

「ええええええーーーー」の連続.

特に,驚愕したのはいわゆる○×ハウスとか○△ホームとかいうハウスメーカーによる建築はすべて,工務店への丸投げであり,ネームバリューと「よい住宅」とは相関関係がないことである.一般的に,ハウスメーカーによる住宅建築費は,3割くらい割高と言われるが,それが実は建築にまわされるのではなく,営業費だったとは...

著者はハウスメーカーの弱点を指摘した上で,ハウスメーカーに依頼する際には,必ず実際に工事を担当する工務店を確認し,そこが建築した家を下見した上で決定することをすすめている.しかし,ふつう,メーカーは工務店名をなかなか明かさないらしい.

してみると,ハウスメーカーに頼むと,地元の地域密着型の工務店に頼むより,高いし,手間はかかるし,ということか.

このような,ユーザー不在のビジネスを21世紀になっても堂々と継続できるのはなぜだろう.しかも,一生の賃金の何割かを費す住宅建築なのに.

家を建てようとする方,あるいは周りにそういう人がおられる方,とりあえず一読しておいて損はないでしょう.
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by redsunflower | 2006-05-06 09:00 | 読書録 | Trackback | Comments(1)
作者は、物理が専門の方には、知らない人はいない日本を代表する物理学者。最近でこそ、女性が研究者であってもそれほどまでに珍しがられることも数少なくなったが、1930年代生まれの作者にとっては、女性が生涯職業を持ち続けることさえあまり一般的ではなかったにちがいない。しかし、作者は、妻、母、そして研究者という3足のわらじをはき、見事にそれぞれの役割を果たしている。今でいう「キャリアウーマン」の先駆けであるが、肩肘を張らず、民間企業に勤める夫と2人で、困難を乗り越えてきた様子には、感服だ。

作者はまた数度にわたる大病に見舞われながら、病室で手術直前まで論文を書いたりして、研究に取り組んできた。それも、自然に当然の如く、進めている様子に、「どこからこのエネルギーが隠されているのか」と驚嘆するばかりだ。

偶然にも本の中に、ジャーナリスト千葉敦子さんと交友があったことが記されている。千葉敦子さんの本は私はほとんど全て読んでいて、彼女のかみそりのような切れ味のある人生には影響を受けながらも、とても真似ができないと感じていたが、一流の研究者である作者の半生がここに記されているようにプライベートも家庭も充実させて成り立つ例があったことを読んで、勇気付けられる。
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by redsunflower | 2006-05-04 22:35 | 読書録 | Trackback | Comments(4)

Return to Flight

「宇宙日記 ディスカバリー号の15日」 野口聡一 世界文化社

私は宇宙物の本も好きだ(映画も).これはたぶん技術者である同居人の影響が大きい.同居人は,技術の進歩や物を作り上げていく過程に興味があるようだが,私は困難に挑んでいく人間のドラマに心惹かれる.

筆者はディスカバリー号で宇宙に行った昨年,宇宙でも日記をつけていたが,その日記をもとに書かれた本.この本の魅力は偉業達成記録にとどまらず,”Before Flight”という形で,コロンビア号の事故後に筆者らが参加した「機体破片回収捜索作業」から打ち上げまでの様子,心情がつづられていることである.自分たちの参加する次のミッションが失敗すれば,おそらくNASAの宇宙計画は頓挫するだろう.厳しい訓練の中,再開作業にかかわるすべての人々の思いを感じ,ひたすら「Return to Flight]をめざしていく筆者の姿勢には感動せざるをえない.

見えるゴールはたやすい.見えないゴールをめざすことは,道のりこそ厳しいが,知性ある人間のみチャレンジできる素晴らしい人生であるということをこの本は改めて教えてくれる.

*Return to Flight(RTF)はスペースシャトルの飛行再開計画の名称
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by redsunflower | 2006-04-28 08:17 | 読書録 | Trackback | Comments(3)
「癒されて生きる:女性生命科学者の心の旅路」柳澤桂子著 岩波書店


作者は元理系の研究員。30数年病気と闘いながら、命とは何か、医療とは何かを時には科学者の視点で、時にはひとりの患者の視点で問う。タイトルの言葉は、32歳のころ原因不明の病を発病しそのまれな症状のために「仮病」や「うそつき」などとその後30年近く、医師の数々の心ない暴言に病以上に傷ついた作者が達観した結論である。発症されたのが70年代であり、医師の言葉が絶対であった時代という点を考慮にいれても、この言葉の持つ意味は大きい。

ひいては、

教員はそのひとの人格以上の教育はできないものである」

とも、

研究者はそのひとの人格以上の研究はできないものである」


ともいえないだろうか。 時あるごとにかみ締めたい言葉である。
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by redsunflower | 2006-04-11 12:01 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
「実践リーダーをめざすひとの仕事術」新水社 メアリーウイリアムス&キャロリンエマーソン

心強い本。会社でも研究者でもキャリアをめざす女性なら読んでおいては損はない、と思う。
キャリアウーマン向けの実用書は、ビジネスコーナーでもちらほら見かけるようになったが、女性研究者向け、となると数少ない。

新しいキャリアを目指す際の面接の臨み方、仕事の時間管理、家庭との両立、子育て、なんとTV出演の際のインタビューの受け答え方の心構えまで、細かく具体的にアドバイスしている。もちろん、文化的背景(著者はカナダ勤務)もあり、すべてが日本で適応できるとは思わないが、孤独に陥りがちな女性研究者にとって、このような実用的な本は心強い。

「女性の」と書いたが、男性にももちろん応用できるポイントがあるし、男性研究者にもおすすめ。また、研究職だけでなく、企業でキャリアをめざす男女にもお薦めしたい。

*(若手)女性研究者のかたへ 耳寄り情報がありましたので、トラックバックさせていただきます。ひとりでも、この情報を多くの方に知っていただけたらと思います。

http://a-scientist.jugem.jp/trackback/17
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by redsunflower | 2006-04-09 20:43 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

女性の生き方1

そもそもブログ作成の大きな目標のひとつに,研究外の私の読書記録を残しておきたいことであった.

今は亡きジャーナリスト千葉敦子さんの「ななめ読み日記」はとても有名だが,本を読んだ上での雑感を残すことは,もしかして間接的に私の人生を理解してもらえるかもしれない.

ブログを始めて1ヶ月以上過ぎたが,初の本の紹介.

「運命に従う」小川亜矢子 幻冬社

著者はバレエに魅せられ,日本人として始めて英国ロイヤルバレエスクールに入学した.彼女の華やかな私生活(欧米での上流階級での暮らし,男性関係など)も興味深いが,60年代半ばに海外バレエ生活にピリオドをうち,帰国したのち日本のバレエ界の問題を「徒弟制度がのこり,バレエ界の進展を妨げている」と鋭く指摘している点が興味深い.ちなみに篠原涼子(女優)と結婚した市村正親氏も彼女に指導を受けたひとりらしい.現在では当たり前の,舞台役者がクラシックバレエの基礎を習得するということを広めたのも彼女の貢献が大きい.

私は,女性が努力で生き抜いていく話が好きである.必然的に,本もそういう類のものはなるべく読むようにしている.(だから,チャングムの誓いにもはまっているのかも)
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by redsunflower | 2006-03-23 07:31 | 読書録 | Trackback | Comments(0)