ある女性研究者の日記 :A Journal of a Female Researcher

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大学教員は「総合職」と痛感する、遅咲きの文系研究者です.静謐な環境が欲しいと思う今日この頃。。。

カテゴリ:読書録( 67 )

データの整理がうまくいかない。論文を書きだすと真正のデータかどうか確認するのはもっと大変になるから、面倒でももう一度ゼロから確認する必要がある。細切れに分析をすると気をつけていてもこういうことはあるのだ、仕方ない、と割り切るしかない。今日はうまくいかなくて疲れ果てたので、明日以降確認すべき項目をリストアップして分析は終了することにする。

最近読んだ本から。

タイトルは軽快だし、タイトルのイラストも今風でかわいい。でも、内容は、副題をつけたいくらいだ。(で、つけました。)

督促OL修行日記ー地獄の勤務を私はいかに乗り越えたか

著者は新卒で信販会社に入社し、支払延滞顧客(要するに借りたお金を返さない人)への催促をする部署(コールセンター)に配属される。普通の大学を出て、普通のOLになる予定だった「気弱なヘタレな性格」の著者はそこで、人格が壊れる寸前までの仕事に打ちのめされる。新卒社員に朝7時から23時までの勤務をさせる部署で、ろくなOJTもなしにいきなり借金の返済を求める電話業務(当然、電話回数も回収率もノルマがある)をさせられ、入社半年で10キロもやせてしまう。当然、電話相手はすんなり支払わない場合が多く、怒鳴られ、ボロボロになりながらお金の回収しなくてはならない。心を病んで辞めていく同僚も多い中、著者は独特の回収方法を試行錯誤で編み出し、ついにはクレジットカード回収部門で300名のオペレーターをかかえるようになった。

借金の回収だなんて、映画「難波金融伝」の竹内力のイメージぐらいしかなかったが(本書の信販会社とは性質が異なるだろうけど)、現在では法律などもあり直接回収ではなく、督促電話による回収が主であること、電話では本人や家族以外では個人情報のため会社名ではなく、名字しか名乗れないことなど知らなかったことも多い。しかし、最も印象に残ったのは、怒り狂うお客様(支払延滞顧客)のペースに巻き込まれずに、いかに支払ってもらえるかを追求する姿勢だ。仮に言い負かしたとしても絶対客は支払わない。そうなれば負けなのだ。怒る(どなる)客は自信のなさ、罪悪感の裏返し、という観察眼も鋭いし、お客様に「ありがとうございます」というときは、「瀕死の母親を思い浮かべるくらい真に心をこめてお礼を言わないと気持ちは通じない」、とあるのは心に響いた。

私にはかなりハードルが高い仕事内容だが、困難な業務にありながら、自分で対処する方法を見つけていった著者には感嘆する。

「おわりに」に書かれている言葉。p.236

「世界中のお客様に嫌われるお仕事でも、私はこの仕事が好きです。このお仕事を与えてもらってよかったなあと、今では心から思います。督促だけじゃないですが「仕事」は生きていくために必要なお金を与えてくれるし、一緒に過ごす仲間も与えてくれる。そして、自分を強くする力を与えてくれるかけがえのないものなのです。

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by redsunflower | 2014-04-17 20:00 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
予定していた一日のデータチェック作業が終わった。エクセルチェックは頭はあまり使わない。少し脳を使って(笑)書きたくなったので、昨日に引き続き前に読んだ本を紹介したい。

「東大脳の作り方」の作者による本。そういえば現役東大医学部生の本としてヒットしたと聞いたことがある。本書のアマゾンの評価はとにかく悪い。読めばわかるが「東大医学部は偏差値が一番高いから入学した」と公言する作者、確かに真実なのだろうけどそれを正直に書いているからユニークといえばユニークだ。普通はこんなこと書いたら印象悪いから本音で思っていても本には書かないと思うけど。

医者も人間だから、一度しかない若い時期に自分の私生活を犠牲にしたくはない、ワークライフバランスを大事にしたいと研修医先の病院候補を考えたりしていることも、ある意味正直と言えば正直だ。

ただ、本書の貢献は東大病院の実習が科によって全然レベルも要求水準も異なることを世間に開示したことであろう。読んでいて、単に実習を形だけのお客さん扱いで単位を認めてしまう科もあることにびっくりした。ただ、昨今の某事件で大学院レベルの教育が取りざたされている現在、教育に重視がおかれないのは、やはり問題と思う。(名指しで診療科名を挙げられているので、一度先生方はご覧になればと思う)。

一番興味深かったのは精神科の実習だ。通常なら足を踏み入れることのない隔離病棟の描写がリアルで、作者の観察も鋭かった。ここでも、やっぱり精神科医は拘束時間が比較的短く、QLが保ちやすいとは書いてあったけど。

買って読むべき本とは、正直思わないけど(私も図書館から借りた本)、こういう医師もいるとわかった点では学ぶこともあったと言える。
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by redsunflower | 2014-03-20 19:25 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
少し前に読んだ本。最近、上野氏の山梨市の講演会をめぐっていろいろあったので、思い出して書いておこうと思う。

私は上野氏のフェミニズム論者としてよりも、彼女の傍系の著書及び関連著書でその存在を知ったものである。(「おひとりさまの午後」、「男おひとりさま道」「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」)
しかし、これはまぎれもなくフェミニズムの正統派の本である。

新書では考えられない、余白の少ない本でかつフォントの小さな文字ぎっしり。そして分厚い。

強硬派フェミニズムは結婚制度も認めない、らしいが、彼女は母を亡くした後、近くに住む男兄弟ではなく東京にいる娘を頼る父の介護のために毎週末東京~北陸を行き来していた。決して、しがらみからの解放だけを主張しているわけではないのだ。


巻末の結びにかえて、から彼女の伝えるメッセージは明確だ。
日本の政治は女たちに不利な方へ進んで行っている、結果としてその動きを変えられなかったことに座視してしまったことに謝罪している

【「官邸前のデモだって、評判の悪いフェミニズだって、少しは世の中を変えることができるかもしれないのですから。負けるとわかった戦争に突っ込んでいったときのオトナたちのように、「あのとき、あなたは、どこにいて、何をしていたの?」とこどもや孫たちの世代からせめられないように。」】

個人的には、雇用機会均等法の結果、女性差別が結果として固定されてしまった(産業界の知恵が一枚上手だった)という意見に共感せざる得ない。それと、「男性にこびる女性政治家、キャスター」を実名でばっさり批判しているのも、すごい。
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by redsunflower | 2014-03-19 18:48 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
50%。10人中5人。何の数字かおわかりだろうか。

作者は、現厚生労働省事務次官。しかし、2009年には郵便不正事件の犯人として無実の罪で逮捕、164日にわたって拘留されてしまった。まったくの無実で起訴されたが、厚生労働省の職員で取り調べを受けた10人のうち、5人が彼女の罪を認めたもの(つまり虚偽の自白をしたもの)が5人、つまり50%だった。(ちなみに、PC遠隔操作事件でも、のちに無実とわかったが自白させられてしまった人の割合は50%だったという。

日本の司法制度では有罪率99%だそうだが、「潔白な人」を虚偽の自白によって有罪と証言させてしまう検察の取り調べに大きな問題があることがこの本は伝える。

アメリカでは被疑者の権利は尊重されていて、弁護士同伴で取り調べをうけることが認められている。しかし、日本では、取り調べ外で弁護士と面会できるだけだそうだ。しかも、日曜日は弁護士との面会できないが、検察の長時間の取り調べは続く。そして、逮捕後の拘留は起訴前で20日。今回の村木氏事件でも直接かかわって本人も自身の罪を認めている厚生労働省の職員も、村木氏が関わったことをでっちあげてでも、自分がこの取り調べから逃れたい、と追い詰められ、虚偽の自白調書にサインをしてしまう。ちなみに、調書とは、自白をまとめたものではなく、検事が書いたストーリーに署名したものだそうだ。起訴前の日本の弁護士の主な仕事は、拘置所に出向き被疑者の心が折れてしまわないように、励ますという非常に限られた形でしか弁護ができないらしい。

検事と言えば、司法試験の合格者で非常に頭のいいエリート、不正などありえないと単純に思っていた私には驚愕の話である。

村木氏は、たまたま運が良くて、有能な弁護士チームがひきうけてくれ、また友人知人からのサポートもあったから、無罪を勝ち取れた、とあるが、一般の人であればどうだったであろう。「執行猶予でもいいから、早く拘留からとかれたい」と思う人もいるだろう。

娘二人の前で、母として、働く女性として何一つやましいことはしていないと胸を張って言える生き方を貫きたかった, とご本人は言っておられる。下の娘さんは逮捕当時高3、起訴後も保釈されず、大阪拘置所に拘留されている母に一日15分会うために、東京在住にもかかわらず、夏休み中はわざわざウイークリーマンションを借りて大阪に住み、母に面会したその足で予備校に通ったという。想像するだけで涙があふれてくる。

本書には、村木氏の罪を偽証した元職員も実名でインタビューに答えている。巻末に載せられた彼の獄中の記録「被疑者ノート」が結局裁判で彼の調書の証拠採択を否としたのだが、彼の検察による追い詰められ方はすさまじい。彼もまた自身の罪は別として、被害者であろう。

取り調べの可視化等、遅々として検察の改善は進んでいないようだが、この問題にもっと関心を持たねばと心から感じさせる本である。
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by redsunflower | 2014-02-08 21:23 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
やっとデータチェック第一陣が終わった。
これからようやくデータを分析して、そして学会のアブストラクト作成が始めることができる。
(その後、別のデータチェックが待っている。やれやれ。。こちらの方が量が多くておそらくもっと大変になりそう)

さて、最近読んだ本から。
「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」菅信子 幻冬舎新書

菅元首相の奥様が著者。発行日からまだ首相になって間もない頃に出版されたようだ。
不本意な取材を受けてゆがんだ情報が伝わるよりも、自分の言葉で伝えられることは伝えたいから書いた、とある。

菅元首相は、原発事故の対応について大変ネガティブな評価がマスコミでは伝えられたが、少なくとも著者の書く首相は普通の市民運動家が国会議員になり、首相になっただけで、人柄としては好印象のもてる感じだ。もちろん、奥様=著者である色眼鏡もあるだろうけど。「イラ菅」というのは事実のようだが、マスコミであそこまで否定される政治家だったのかという気がする。官邸にすら、情報が入らないあの状況で、どれだけの人が評価に値する行動がとれるだろう、と思ったりもする。

本書では、おふたりの子ども二人が不登校になったこと、サミットへ持参するお土産を外務省の推奨リストにある、「ありきたりの日本グッズ」ではなく、作者の友人ネットワークの手を借りて見つけた漆塗りのUSBにしたこと、ホスト国の夫人のネコ好きの情報を得て、猫の描かれた着物を着たことなどもエピソードが紹介されている。

また、官邸への引っ越しもリフォームの提案を受けたが、「今、住んでいる賃貸のマンション」より広くてきれいだからということで、さっさと移り住んだなど、好感がもてる。
作者が本文で「日本のメディアの政治部の記者はキャリアが浅く(入社数年目が主流)、政治家や政治を本質的に勉強し、とらえきれていないのではないか」という指摘は、鋭い(経済の記者はよく勉強している、とあるが)
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by redsunflower | 2014-01-22 11:41 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
今日は1月17日。阪神淡路大震災が起きた日です。

多くの命が失われた震災。
震災に被災された方だけでなく、自分の身にいつ何時ふりかかるかもしれない理不尽な悲しみにどのように向き合うのか、この本はひとつの示唆を与えてくれます。


愛する人、かけがえのないものを奪い、恐怖と苦しみの日々を強いた阪神大震災。しかし深い絆や人間の新たな可能性に気づく啓示でもあった。地震に遭った人々に灯る限りない優しさとあたたかさを見つめたヒューマンドキュメント。(アマゾンより抜粋)
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by redsunflower | 2014-01-17 10:00 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
著者は離婚後、一線で活躍してきた、老後の生活のために全国各地の理想の老人ホームを探す。

結局、本の刊行を待たずして肺がんの手術を受け亡くなる。そのあとがきに娘さんが寄せた文で彼女の最期がわかるが、先にあげた「ガンを手術すべきかどうか」の本を読んだ後だけに考えさせられた。

以前乳がんにかかったことのある作者は肺がんがわかった時、娘さんに手術を受けるかどうかについて相談した。娘さんは熟考をすすめたが、「体にあるとわかったらとってすっきりしたい」と考えた(と思われた)著者は手術を受けた。その結果、肺炎が悪化し、亡くなったのである。末期はステロイドなどの治療で大変苦しまれたそうだ。「結果的に手術に踏み切ったことが命取りになった」と娘さんは述懐している。

がんは「自分で歩いて診察を受けにくる患者」をすぐ死なせる病ではない、と先の本のどこかにもあったが、いろいろな選択肢が考えることも、ある一定以上の年齢で「がん」と診断されたら必要だと思った。ただ、その選択は難しい。結局はどう死ぬのかを突き詰めるのは、どう生きてきたかということにかかっているのかもしれない。
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by redsunflower | 2014-01-12 12:03 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
著者は病院長を経て、老人ホーム診療所所長。ホームで多くの高齢者を看取った経験から、高齢者に過度の医療はやめて、自然死することを受け入れようと説く。先の近藤氏と異なるのは、近藤氏がすべてのがん患者の治療は無用というのに対して、中村氏は高齢者、と限定しているところだろうか。私は個人的にはこちらの説に近い考えだ。80歳過ぎても病院へ行けば、「検査」、そして悪いところが見つかれば「手術」となる。もちろん、意思決定は個人になるが、病院でお医者様にデータを見せられて、手術しますか?と問われればどうしても「とってすっきりしたい」と考えてしまうだろう。ただ、その後のQLは必ずしも手術で確約されたものではない。高齢者になればさらにいろいろな問題を抱え、苦しむことも多い。結局、どのように生きたいのか、延命治療をどう考えるかなどについてはっきりした意思表示をしておかなくては、現在の日本では延命されてしまうという。人はいつかはなくなる、死ぬのは当然の理だということを忘れがちだと本書は語る。模擬棺桶にはいり、残された人生を考えるイベントはユニークだと思った。
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by redsunflower | 2014-01-12 11:51 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
年末に図書館から借りて読んだ本を3冊紹介したい。

高齢の親を見ていたら30年後の自分のあり方をいやでも考えさせられる。

「余命3カ月」のウソ 近藤誠著 KKベストセラーズ
著者は慶応義塾大学 医学部放射線科講師。最近マスコミに取り上げられることが多い。昨年末、朝日新聞の討論にも登場した。

この本は、はっきり言ってよくわからなかった。作者のいう「がんもどき」(注・食べものではない)がガンとどう違うのか、理解できなかった。「欧米と日本とではガンの定義が違う(p.103)」とあるが、本当なのだろうか。このような重要な問題は巻末に参考文献ぐらい載せてほしかった。また、本のあちこちでも散見される「僕の考える」という表現。このことばとがんもどき理論は、整合性がないように思えるのだが。ケーススタディも大切な情報とは思うが、自身が見てこられた150程度の症例で、理論といえるものを導き出していいものなのか。
ただ、現代の医療の問題点の指摘には耳を傾ける必要があるだろう。
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by redsunflower | 2014-01-12 11:48 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
私の研究分野は英語研究ですが、多くの大学教員同様こま切れの研究時間しかとることができません。大学の業務、学生への指導、もちろんこれらは仕事の大事な部分ですが、下手をすれば前の研究から数週間・数か月研究から離れざる得ない場合もあります。(最近は、仕事に加えて親のケア・自分の体調ケアにも時間が必要になってきました)何とか時間をうまくやりくりできないかといろいろな本を参考にしています。その中のいくつかは医師向けの本です。

この本は、「症例報告、何をどうやって準備する?」というサブタイトルにひかれて読みました。私の研究分野もcase studyはありますが、どちらかというと単独で発表するというより、他の研究方法を補うという目的で使われることが多いようです。でも、症例=個々の学生の報告も大事だと思っています。
テクニックといったら語弊がありますが、手取り足とり研究の方法を学んできたわけではなく、「大海に放りこまれバタバタしているうちに習得した」感の強い私にとっては役に立つ情報がいっぱいでした。写真データを撮るときは画素数の多いものでというのは基本中の基本ですが、過去に携帯でとりあえずとった写真が使えなくて苦い思いをした私には説得力があります。また、エピローグの「準備の時間は奪い取れ!!」というコラムは忙しい=研究に時間が割けないと思っていた私にカツを入れてくれました。(身体を壊さないようにお願いします)と書いてあったのには共感笑いしてしまいましたけど。

学生にパワポの指導を行うときにも参考にできそうです。
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by redsunflower | 2013-09-06 10:27 | 読書録 | Trackback | Comments(0)