ある女性研究者の日記 :A Journal of a Female Researcher

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大学教員は「総合職」と痛感する、遅咲きの文系研究者です.静謐な環境が欲しいと思う今日この頃。。。

カテゴリ:読書録( 66 )

世間では某事務次官のセクハラ疑惑(私はあの発言はアウトだと思うが、ご本人が否定され、まだ決着がついていないので一応疑惑とここには書いておきます)、それに対応する大臣、国会議員、官僚のまずさが話題になっている。

一般の会社であれば、副社長に仮にセクハラ疑惑があった場合、副社長の部下が「調査し」、社長が会社の顧問弁護士まで、訴えれば認めてあげようと副社長をかばう姿勢を見せ、また「(セクハラを受けた女子がそのように弁護士に訴えるのはそれほど苦痛なんでしょうか?」と重役が言ったとすれば、すごい事態になるだろう。

しかし、今回おエライ先生たちはあまりピンときてないらしい。なぜか、自分たちが働いている職場(国会)にはセクハラ、パワハラが蔓延しているからとこの本を読めば納得できる。

本著の作者は現役国会議員政策秘書、よってペンネームによる執筆だ。そこには、国の最高機関である国会はセクハラ、パワハラが渦巻いているブラック機関であることが生々しく書かれている。いや、文体は軽く明るいのだが、中身はすさまじい。かの「この〇ゲ、云々]と秘書を殴った例が別に特別でないことがわかる。いやはや、これに匹敵する職場はそうそうないだろう。

「働き方改革」まずは国会で必要だ。

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by redsunflower | 2018-04-24 13:10 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
ごめんなさい。白状すると私は村上春樹氏の小説は読んだことがありません。
ただ、彼がとても有名なベストセラーであることぐらいは知っています。
そして、彼に関心を抱いたのは、エルサレム賞受賞スピーチを知ってからです。作家という職業についている村上氏に畏敬の念を抱きました。

さて、この本は彼の作家としての秀逸なノンフィクションです。作家になったきっかけ、彼の文体の成り立ち(驚くべき手法!)そして、文学賞に対する考えなども興味深いのですが、彼が長い間文学界から冷遇されてきたことを知り驚きました。また、ずいぶん前にハワイ大学でお師匠様に研究のproductivityについて相談していた時、「Murakami とかいうベストセラー作家がハワイ大にしばらく滞在していて、彼の勤勉な作家活動に感心した、、、」みたいに言われたことがあります。当時はムラカミ?って誰だろう、ぐらいにしか思ってなかったのですが、彼は執筆を世界中で行っていると本書で知り、あのムラカミとは村上春樹氏だったのだと気づきました。productivityでは有名なお師匠様がほめるくらいの勤勉さがあるからこそ、彼が作品を次々と生み出しているのでしょう。研究にも通じるものがあると思います。
個人的には本書のあちこちで「(  )カッコ書き」で後述説明されている文体に親近感を覚えました。私もこの書き方が好きなのですが、仕事上、(  )説明の文体は封印しています(なるべく)。←こんな感じ。

こうなればやはり村上氏の本を読むしかない、でしょう。




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by redsunflower | 2018-03-06 17:32 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
昨年末から、ホームラン本!に出合い続けているような気がする。少しずつ紹介していきたい。

物心ついてからずっと断片的にニュースで聞いてきた言葉;
「パレスチナ」「PLO」「アラファト」「イスラエル」「中東戦争」「スエズ運河国営化」etc.

でもそれがどうつながるのかわかっていなかった。そこで一念発起して読み始めたこの本、旧約聖書の話から、湾岸戦争までの歴史的史実を縦糸に、ユダヤ人がヨーロッパでさげすまれ虐げられてきた理由、そしてホロコーストを経て、イスラエルを建国するにいたった訳、それにかかわった大国の二枚舌、いや三枚舌外交などをわかりやすく解説している。まんが、とタイトルにあるが、イラスト付きと言った方が正しいだろう。

もちろん、概観に的を絞っているだけに物足りなさを感じなくもないが、とにかくイスラエル、パレスチナ問題を知る第一歩としてはわかりやすい。そして、パレスチナで現在なぜ自爆テロに走る若者が絶えない理由にも触れられている。

何千年にもわたる問題の深さに絶望的な気持ちにもなるが、でもとにかく歴史を知らなければ何も始まらないだろう。数千年まえには、宗教が異なっていても融和して生きていた時代があったということがわずかな希望の光だ。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784061497696 

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by redsunflower | 2018-03-02 10:16 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
それは、アマゾンの奥地ではなく、東京の上野にあった。

東京藝大、競争率では東大理Ⅲよりも高く、何浪も多い大学。美校と音校が両方ある大学。その昔、大学生の頃、私立の音楽学部に通う知り合いがさらっと言っていた「大学の練習室にこもって、一日普通7~8時間は練習するの(注:授業外で、である)」に衝撃を受けたことがあった。
しかし、実際の学生へのインタビューを交えて紹介する東藝大はさらに衝撃的であった。そして、実学や効率が幅を利かしつつある大学教育で、将来の安定が保証されない4年間にお金もエネルギーも時間も使う学生たち。それを当然とする教授というか大学。

数年に一度スーパー人材が出ればよし、と教育陣も考えているとか。卒業生たちは、その道のプロ、アーティストとして生計を立てることができるのはほんのわずか、卒業生の半数以上は行方不明、そういう大学なのだ。

心に残ったエピソードから。
●高校生から新幹線に乗って東京で藝大の先生にレッスンを受ける。藝大教授=日本を代表する演奏家、レベルのレッスンを受けなくては合格は難しいらしい(レッスン代+新幹線料金、と考える私は小市民だけど)
●バイオリンは3歳くらいから。バイオリンは体に共鳴させて音を出す。だから、体+バイオリンが骨格的に一体化してなくてはいけないらしい。つまりバイオリンなしでは、体が一部を失っていると感じるほどの一体感が必要で、そのためには6歳じゃ遅いらしい。
●学生の持つバイオリンなども家一軒買えるクラスのものもある。「ちょっと、トイレに行くから楽器見てて~」なんて怖くて引き受けられない。
●センター試験は課せられているが、その割合は低い。(そもそも藝大にセンター試験は必要?とも思うけど)

美校エピソードもいっぱいあった。でも、混沌としたイメージで紹介しきれない。

何だかわからない秘境を探検した気分。今度上野に行ったら、実際に探検してみたい。



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by redsunflower | 2016-11-09 11:39 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
以前に読んだ本だが、作者が先日亡くなられたのでもう一度図書館から借りてきた読んだ。

作者は日本の女流登山家の先駆者である。登山家と言えば「孤高の人」というイメージが強いが、普通の主婦であり、母であった。ただ、山に魅せられて登り続けてこられた女性なのだ。日本国内のみならず、海外のそうそうたる山々へのアタックにも挑戦されてきた。そして、しばしば、女性だけの登山隊で。

しかし、女性だけの登山隊といっても、聖人君子ではない。山という過酷な環境下では揉め事、ゴタゴタなど普通の日常生活以上にいろいろあったことも書かれている。地上では体力があっても、いざ頂上へ登頂という際には、ベストメンバーで臨まなければ命の保証がない。また、時には登頂をあきらめなければならないときもある。その際に出る隊員からの不平・不満、あるいは中傷にも動じずに芯がぶれることなく決断をしなくてはならない。私なんかだとお手上げあるいは切れてしまいそうな状況でも、作者は何度も失敗を繰り返しながら、山に登り続けてきた。「それでも私は山に登る」というのは、山にはそれほどの苦労をはるかにしのぐほどの魅力があるということだろうか。

作者は乳がんを2007年に、そして2012年に腹膜がんにかかる。特に腹膜がんは一時は余命数か月宣告を受けられたぐらいの悪い状況だった。しかし、抗がん剤治療を受けながらも、山に登ることを止めなかった。足があがらなくても、とにかく家よりも山にいくことを望んだ。東北震災後は、東北の復興のためにボランティアでイベントを企画し、東北の子供たちを富士山登山に招待したりもされていた。

結局、腹膜がん発覚から5年たたずして亡くなられたわけだが、「5年生存率3割」という宣告にも負けずにみごとに生き切られたということだ。

ご冥福を心よりお祈りしたい。

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by redsunflower | 2016-11-06 12:15 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
作者は、一度国家公務員になったが、外留中に漢方に目覚めて医学部に学士入学された方。

この本に出会った当時、私は単身赴任と親の介護の始まりで不調の連続であった。この本を読み、年を重ねるにつれ、エネルギーボールが縮小していくことを知った。そして、変わりつつある体のバランスを保つためにもエネルギーを使用するので、無理は絶対ダメ、過去の栄光と割り切り、これからは、残っているエネルギーを大切に少しずつセーブする生き方(働き方)をしなくてはならないとわかった。また、水分の取りすぎにも気をつけること(一日何リットルも飲む健康法は、乾燥した地域に住み、胃腸の丈夫なヒト向け)、眠るのにもエネルギーが必要ということも。

それまでも、漢方の本を読んでいたことはあるが、ここまで統合的に「変わりゆく体調」に東洋医学的(食べ物、ツボ、生活習慣など)にアプローチしていた本は初めてだった。

今も、時々思い出しては読んでいる。ずっと手元に置いておきたい本。

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by redsunflower | 2016-10-12 13:48 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
朝ドラ「あさがきた」の原案となった本。

この朝ドラには親の入院時期スタートからほぼ重なり、毎日励まされた。主題歌もきっと忘れられない曲となるだろう。
病室で、読むために買った。スマホをずっと見るより、やはり本を読むほうが私には向いている。

広岡浅子氏の人生はドラマですでにご存じだろうが、この本は1988年に初版で出版されている。ドラマが始まるまではそれほど売れたわけではなかったらしい。
作者は、執筆時に丹念に資料集めをして、加島屋が設立した大同生命(*)ですらその価値に気付かず、整理もされていなかった資料を掘り起こし、分析した情報をもとにこの本を執筆した。ドラマでは触れられなかったけど、主人公の浅子はその業績も素晴らしいが、乳がんや結核などの病にも倒れている。そして、NHK的にはどうしても飛ばさざるを得なかった事実、夫の広岡伸五郎の妾には、あさが実家から連れてきたおつきの女性・小藤がなったこと(炭鉱などに泊まり十分お世話ができないというあさの依頼で、、)その小藤はずっとあさたちと同居し、その子供たちも加島屋の子として重要な仕事を引き継いでいく。

明治の新しい女性を生き抜いたあさだったが、今では考えられなかった女性の生き方も併せ持っていたのである。

作者の古川氏がBS番組に出ておられたのを見たが、とても感じのよさそうなおばあ様(失礼!)で、ご本人が急に昔書いた本が売れだして一番びっくりされていた。この本の執筆の動機が、ご自身の離婚後、とにかく何かを死に物狂いで進んでいきたかった、ということも胸を突いた。



*大阪の大同生命本社ビルは昔加島屋があったところに建っています。

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by redsunflower | 2016-04-06 10:42 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
昨年、親のがんの再発がわかってまず言われたのが、「最期の看取りを在宅でするかどうか」ということ。その際に一度図書館で借りた本。書かれている末期がんの症状が、まさに今、該当することが多く再読した。

本は在宅を勧める趣旨が中心だが、必ずしも在宅だけを選択肢に入れているわけではない。
初めての在宅での看取りは、人の死に慣れていない現代人にとってハードルが高すぎる(医療関係者においても、医療の分業化(急性期、慢性期など)終末期の患者をみとることに慣れていない人も多いらしい。



在宅医療は国の医療方針だそうで、今回の医療保険点数改正にあたっても、在宅医療に手厚い改正が行われた。

しかし、実際この一年親の症状を見てきて、がんの在宅での看取りはよほど覚悟と条件がなければ、家族はつぶれてしまうと感じた。当初は医療保険でカバーできない分は、自費で人を雇って在宅看護で、と考えていたが、がんに痛みが出た時点でその考えは粉々になった。がん患者の70%程度に痛みがでるらしいが、その痛みは見ていられないほど強烈だった。もちろん、通院していた時もドクターは痛み止めと「レスキュー」と呼ばれる医療麻薬を処方してくださったが、だんだんうまく痛みをコントロールできなくなってしまった。家族としては、痛み続ける親の姿を見るのは本当につらかった。

ホスピスに入るには、告知が必要だったので、悩み抜いたうえ、告知をして緩和治療を選択した。

今、親は、病院でほぼがんの痛みを感じていない。痛みのコントロールは個人差があるので、熟練した処方が必要だそうだ。容態が日によって変わるが、適宜薬の処方を変えてくださっている。


ただ、スピリチュアルペインと呼ばれる心の痛みは、難しい。ただ、寄り添って調子のいい時に声掛けかマッサージぐらいしかできない。

しかし、考えてみれば在宅で、医療知識の乏しい家族がどこまでできるだろうか。日々の不安に押しつぶされてしまってスピリチュアルペインを抱える病人の心に寄り添うどころではないだろうと思う。
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by redsunflower | 2016-03-18 10:43 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
私がまだ20代前半だったころ、仕事で行ったワシントンDCに「Iwojima memorial]と書かれたモニュメントがあった。当時の私は硫黄島については第二次世界大戦で激戦地であったことはかすかに知っていたが、詳細は何も知らなかった。

この夏、TVでクリント・イーストウッド制作「父親たちの星条旗」という映画を見た。硫黄島の激戦だけではなく、なぜ、あのモニュメントが建てられたのか、このモニュメントのモチーフとなった写真の兵士たちの運命をアメリカ側の視点で描いた秀逸な映画だった。(映画の批評YOUTUBEの予告篇 はクリックしてください)特に、予告編の後編で「戦争とは・・」と語る帰還兵の言葉には重みを感じる。どこかの国の政治家にも是非見ていただきたい映画だ。

この映画を見て、硫黄島についての本を図書館で借りてきたのが、今日紹介する本。
作者は硫黄島からの数少ない帰還兵のひとりとその遺志を継いだ娘さんである。生還したのは、重病のために戦闘直前に日本に送還されたから。日本軍の戦死者19900人、生存者1033人。アメリカ軍は戦死者6821人、負傷者21865人。いかに激しい戦いであったかわかる。

しかし、この本は、硫黄島の戦闘が始まる前にすでに日本軍が事実上、負けていたことを描いている。
硫黄島には、水もなく兵士は絶望的な喉の渇きを常に抱えていた。加えて、水のないところには草木は生えず、食料補給もなかった。栄養失調でフラフラになりながら、戦闘に臨まなければならなかった兵士たち。輸血を準備して、衛生兵(医療従事専門の兵士)を前線に配置していたアメリカ軍との違いは大きい。「日本では戦死となるところを、次々と戦傷の範囲に引きとどめる努力をした…」と作者は記している。

硫黄島は現在日本の領土である。しかし、まだ一万体近い遺骨が収集されていない。アメリカ軍は戦後10年内にすべて兵士の遺骨を収集したというのに。

「戦争を知らないで、一生を終えられたら、これほど幸せなことはありません」と越村氏の言葉は本当に重い。



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by redsunflower | 2015-08-23 11:04 | 読書録 | Trackback | Comments(0)
気分が落ち着かないときは本を読むのに限る。

良書と出会うと、たとえどんな環境におかれていても読んでいる間だけは、現実の問題を忘れ、自分の世界に入ることができる。

少し前に読んだ本。「捏造の科学者」を読む少し前ごろだろうか。
読み終えたとき、すがすがしい気持ちになり、背筋がピシッと伸びる気がした。

この本の執筆時は、山中先生はまだノーベル賞受賞前だったが、すでにノーベル賞受賞されていた益川先生との対談においても堂々と語り合えるものを持っておられると感じさせられた。

おふたりとも研究人生において、当然ながらうまくいかないときもあったことを正直に語られている。具体的なエピソードも豊富だ。研修医時代にかなり強烈な体育会系指導(!)を受けたらしいが、今頃当時の指導ドクターは「えらいことしたなあ(失敗した!)」と思っているだろうと想像する。

折に触れて読み返したいと思った本。



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by redsunflower | 2015-02-27 11:54 | 読書録 | Trackback | Comments(0)