『明日もまた生きていこう』 横山友美佳著 マガジンハウス
表紙はいかにも元気そうなバレーのユニフォーム姿の高校時代の著者の写真。バレーの選手に多いざっくりなショートヘアに笑顔が似合っている。しかし、サブタイトルは「十八歳でがん宣告を受けた私」と続く。
著者は、中学時代からオリンピック有望選手となり、高2で全日本シニア登録選手となる。バレーに詳しくない私には、これがどれほどすごいことなのかわからないけど、要するに高校生で社会人に混ざり、オリンピックに向けての候補選手であったということであろう。 しかし、18歳でがんを宣告され、バレーの表舞台から姿を消す。 だが、彼女のすごいところは、闘病生活をしながら大学受験をめざしたところである。治療の副作用で白血球の減少と闘いながら、大学を目指し、見事早稲田大学教育学部にで入学した。がんは一時消えたかに思えたが、入学後6か月で再発。結局治療のために大学も辞めざる得なくなり、21歳で永眠する。 病床にあって彼女は、この本を書いた、とある。 過酷すぎる運命と一言では言い表せない。私ならば、この若さで彼女と同じ運命にあれば、どのように過ごせただろう。ただ、葛藤や言い難い苦悩の中で、書くというプロセスを通して彼女は、自分の人生を見つめなおし、周りの人のサポートに気付く。 人は、当然のように自分は明日も生き続けると当たり前のように思っているが、そんな保証はどこにもない。今日を生き、明日が来ることがどれほど幸せなのだろう。 それにしても、バレーだけではないと思うが、学生スポーツは、こんな感じなのだろうか。公立中学で頭角を現した作者は、全日本ユースで海外遠征に招聘されたが、顧問の中学バレー部の先生が、関東大会に出場を優先させるために、本人に承諾なしに招聘を断ってしまったというエピソードが紹介されている。スポーツは誰のためのもの?と思わざるを得ない。また、学校でのバレーに加えて、強化選手の合宿や海外遠征などの多さは、何度も読み返さないと把握できないくらいのハードスケジュールだ。体力はあるにしても、体の十分できていない十代には、もう少し長い目でみた強化策はないのだろうかと思ってしまった。
by redsunflower
| 2014-09-10 16:08
| 読書録
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