カテゴリ:読書録( 63 )

「55歳から大学教授になる法」鈴木勝著 明日香出版社

著者は 元JTB勤務。略歴には「JTBアジア.取締役日本支社長」とある。大手のホテルに泊まると、ホテル関係者が挨拶に来るから「落ち着いて勉強時間が確保できない」と記されているほどだから、旅行業界ではそれなりに知られた方だったらしい。

いわゆる「一本釣り(業界用語:公募ではなく、という意味らしい)でサラリーマンから大学教授(最初は助教授)に転身したお話である。

もちろん、新設学部には、「目玉」といったら失礼だが、インパクトのある教授陣を招聘することはよくある話だ。元JTB役職の人を採用した新設学部の意図も感じられなくもない。

著者本人も、「受験生勧誘の大学要綱パンフレットにかつての会社名が記載されるコトに関して、単なる経歴を超えて紹介されるとすれば、完全に独立した大学教授だといえないでしょう」
と、大学の意図を認めている様子がうかがえる。

しかし、著者が「一本釣り」されたのは、彼の経歴に加えて、多忙なサラリーマン生活の傍ら、執筆時間を捻出し、地道に努力を続けてきたからに違いない。研究活動の全くない者は、どれほど有名人であっても、特に新設学部では認可などの関係もあり、簡単には認めれらがたいであろう。

著者は、サラリーマンをしながら「勉強する時間」を細切れに、しかし、戦略的に見つけている。
たとえば、、会社近くで泊まる時は、冒頭の「いろいろしがらみがある」高級ホテルではなく、カプセルホテルにするとか、日曜夕方出社して、自分の仕事の段取りを立てるとか(土曜出社だと、平日同様他の案件もこなさなきといけないので、自分の仕事ははかどらないらしい)、また、勉強するための喫茶店は、会社から一駅くらい離れた場所に見つける(近くだと、会社の人間が多く集中できない)など、など。

研究時間がない、と嘆いている人にも(私を含めて)非常に参考になる。

このように、目標を立てて、戦略的に物事を進めることが出来る人が、やはり企業でもそれなりの立場についていくのだろうな、とも思った次第である。
[PR]

by redsunflower | 2008-07-24 08:56 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

「中年ドクター宇宙飛行士受験奮戦記」 白崎修一

makurikuriさんのブログに宇宙飛行士募集の話が載っていたので、図書館で見つけて借りてきました。

宇宙飛行士になりたい方、試験を受けている方、

かなり参考になる本です。いろいろな試験が事細かに、書かれています。特に医学検査は筆者がドクターだけあって、詳しい。読んでおくだけで、本番の検査に余裕がでてきそう。

筆者は麻酔科のドクター、40歳で宇宙飛行士の試験に臨み、最終選考まで見事残ったけれど、最後に夢かなわず。

でも、気力、体力、知力と全力を尽くして、ミドルエイジで超難関の畑違いの試験に臨まれた、筆者の姿勢に励まされる。
ドクターという仕事もやりがいがある、素晴らしい仕事だと思うが、それ以上に宇宙飛行士ってロマンをかきたてるものなのだろうか。閉所恐怖症の私には、想像もつかない。


ちなみに、このときの合格者が古川聡さん、星出彰彦さん、角野直子さんだ。
[PR]

by redsunflower | 2008-07-09 20:19 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

「源氏物語」島村洋子 双葉社

今年は、源氏物語が世の中に出てから(と確認されてから)1000年目だそうな。。

マスコミや書評などでもよく目に付き、源氏物語に対する興味がふくらんでいました。

だって、高校のときの古典の教科書では、

「いづれの御時にか。。」とか「須磨にはいとど。。」とかごく一部しか習わなかったし、
断片的な知識では、光源氏の女性放浪、とか今だとスキャンダラスなエピソードがいっぱいという感じだったのですから。

もちろん、最初からあの膨大な量を読むエネルギーはないので、源氏物語のあらすじがわかる1冊の本を図書館で借りてきました。。

夜中2時まで一気に読了。

もちろん、艶やかなエピソードがいっぱいで、ほー、というか、

今の基準で考えると、

「何考えているの?!」

と突っ込みをいれたくなるストーリーではありますが、

逆に、人間の性(サガ)とか、哀しみなど

この物語が1000年前に書かれていたことに改めて感心します。

それにしても、教科書にこの源氏物語の艶っぽい(なまめかしさ?)を入れるのは苦労だろうなと拝察します。

やはり、無難な冒頭や須磨の生活ぐらいの描写あたりに落ち着かざるえないでしょう。

ただ、この文学の真骨頂は十代より、ある程度の年齢を重ねたものでないとわからないかもしれませんね。与謝野晶子や瀬戸内寂聴氏らが、人生の後半をすぎたころから、現代訳に取り組んだというのも理解できます。

いつか、サマリーでなくて、すべて読んでみたい(もちろん現代語訳で)と思った私です。
[PR]

by redsunflower | 2008-06-03 12:34 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

「指揮者列伝 世界の指揮者100人」 玉木正之 平林直哉 河出書房

ひさ~しぶりの読書録です。

いきなり、何故、指揮者本なのか?

この年末年始、突然の引越しやら何やらで、超多忙だった私。

さすがの私も、ちょっと「まいっちゃった」時がありました。

そんな時にふと見たTVである番組の再放送が流れてました。


のだめカンタービレ♪

最初は、「ナンダ、これ」と思いましたが、音楽大学を舞台に指揮者をめざす千秋くんと彼にあこがれる変な女の子、野田恵(のだめ)(でも、本気をだせばピアノがすごい)を中心に繰り広げられるドラマ。大笑いすること、ほろりとすることの連続。
劇中のBGMがすべてクラシック、というのも気に入りました。

さらに、お正月にはスペシャルも放映されて、

疲れた体と心に見事、ビタミン剤となってくれました。

そういうわけで、ドラマの中で、指揮者なるものに、関心をいだいた私。先日、図書館でこの本を見つけ、即借りちゃいました。

100人のうち、聞いたことある名前は、カラヤンとか、朝比奈隆とか小澤征爾とかごくわずか。ほとんど知らない指揮者のエピソードですが、意外と人間っぽい面が紹介されていたり、あるいは酷評もあったりして結構楽しめます。
[PR]

by redsunflower | 2008-02-20 12:59 | 読書録 | Trackback | Comments(2)

「鹿鳴館の貴婦人 大山捨松」 久野明子 中央公論社

ある化粧品メーカーから送られてきた雑誌に日本初の女子留学生として紹介されていた記事があったので、「人生を切り開いていく女性」が好きな私としては、見逃す法はありません。すぐ、図書館でゲット。

大山捨松は、あの津田梅子らとともに、岩倉使節団ととともに11歳の時アメリカへ向かう。

よく幼い女子を、留学に行かせたものだと思っていたけど、この女子留学生たちは、みな、明治新政府に逆らった藩の出身だった。つまり、逆賊となってしまった「旧藩」の汚名を少しで晴らすという思惑が、送り出した側にあったのは興味深い。ちなみに本名は「咲子」、「捨松」は留学が決まり、生きて帰ることができるかどうかわからないので、母が「捨てて待つ」という意味でつけたそうである。母親としては、本当に厳しい覚悟が要っただろう。

日本人女性初のアメリカの大学学士として、帰国したが、彼女には経験と知識を活かせるポストなど用意されていなかった。男性留学者は、次々と高官にとりたてていかれるというのに。また、彼女自身、母語である日本語の読み書きがやはり十分でなかったことも災いした。

結局、彼女は、結婚し、「上流階級の社交界」を通して、自らの能力を発揮する道を選ぶ。バザーや寄付などの概念が広まったのも、彼女の活動が貢献したらしい。

様々な紆余曲折があり、挫折も中傷もあったそうだが、最後まで、「自分の置かれた立場で最善を尽くす」という彼女の姿勢は変わることがなかった。

明治の時代、こんな女性が実在したことに勇気付けられる一冊である。
[PR]

by redsunflower | 2007-05-23 19:36 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

「オニババ化する女たち」 三砂ちづる 光文社新書

仕事、仕事のGWでも、やっぱり普段よりちょっぴり精神的余裕があって、

図書館で10冊本をかりてきました。眠る前のひととき、本を読むシアワセ…

で、久しぶりの読書録。

以前から、その強烈なタイトルだけは印象に残っていたので、図書館で迷わずゲット。
副題に「女性の身体性を取り戻す」とあります。

前半はなかなか興味深かった。

女性の身体が、戦後数十年のあいだに、それまで伝承され、受け継がれてきた「力」を失ってきたという視点。昔の女性は月経血すらも、コントロールする術を知っていたとか。日本の助産婦(士)制度が世界にまれをみぬ女性の本来の出産に寄り添ったものであったとか、それが病院で出産することが当たり前になり、本来女性が体験すべき「かけがいのない経験」が、おきざりにされてしまったとか。日本では、母性保護の観点が希薄であったという主張も納得がいきます。

ただ、作者が
「この本で取り上げたことは、科学的な根拠のあること、あるいは、ただ、私の気付きに過ぎないこと、が混じっています」
とあるように、

問題の解決策として、

早婚、早出産、充実した性生活、

と述べているには、違和感を感じます。セクシュアリティの流れが悪いと病気になる、つまりオニババ化の原因とまで書いておられますが、こう断定調でいいのか?と思います。

それにしても、本って、インパクトのあるネーミングが大切ですね。このタイトルでなければ、決して手に取らなかったでしょう。
[PR]

by redsunflower | 2007-05-03 14:20 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

マシンガン読書

もろもろの締め切りを午前中に果たした日の午後は。。。

ゆっくりお茶をのみながら 趣味の読書、









だと、いいんですが、

今日は、注文して届いていた本を

「マシンガン読書」する。

以下、メモ書き。

「不都合な真実」アル・ゴア著 ランダムハウス講談社
地球温暖化問題を中心に環境問題をビジュアルに見せる本。環境問題初心者にはわかりやすいだろう。(よし、映画のDVDも買おうと思う)


「入門環境経済学」日引 聡、有村俊秀著 中公新書
環境問題を実際社会の中で、どのようにアプローチすればいいのかを経済学の理論で易しく(それでも初心者には?もあったが)解説。以前、環境問題を授業で扱ったとき、事象の解説だけで、何かがかけていると感じていた。環境問題が大事なのはみんなわかっている、それをどうやって経済に最小の負担で、未来の地球を守る提言ができるのか、やっとわかった(ような。)経済の理論って、おもしろいな、と思いました。


「切磋琢磨するアメリカの科学者たち」菅 裕明著 共立出版
副題が「米国アカデミアと競争的資金の申請、審査の全貌」とある。話には聞いていたけど、アメリカの研究者たちの道を説明している。日本のアカデミアに足りないものを示唆してくれる本だ。研究留学を考える人は、読んでおいた方がいいかも。


もともと読むのは速いわたし。速読と言うか、情報にざーっと目を通しただけだけど、こういう本を読んだという記憶は残る。そして、必要な時にまた読み返すようにしている。

さ、息抜きもしたし、明日はまた出版本に向けて、頑張ることとしよう。


それにしても、あったかすぎない?

キッチンリフォーム中、ナベで晩ご飯を乗り切ろうとしたけど、あったかくて、鍋物をする気にならない。

うーん、毎晩のおかずに四苦八苦しております。> <

[PR]

by redsunflower | 2007-02-20 22:51 | 読書録 | Trackback | Comments(2)

徒然草 世界文化社 

何故だか急に徒然草(中高の国語の時間に暗記させられた人も多いのではないでしょうか?)を読み返したくなって、読んでみた。

でも、

ン!?

これは、まさに今でいうブログそのものではないか。

人の愉快なうわさ話(たいていは法師の話)があったり、
しんみりした感想があったり、
人生の達観が綴られていたり。

今はブログからベストセラーが生まれる時代だけど、

徒然草は、時代を超えたベストセラーだからもっとすごいかも。

第百十七段
「友とするにわろき者」
友とするのによくないものが七つある。第一は身分の高貴な人。第二に若い人。第三は病気をしたことのない、からだの頑強な人。第四、酒好きな人。第五、剛勇な武人。第六、うそつき。第七、欲深き人。
よい友は三つ。その第一は物を呉れる友。第二は医者。第三は智恵のある友。

兼好の人生でどんな出来事があって、こんなふうに感じたのでしょうか。もしかして、病気にかかっていたのかもしれませんね。

「物を呉れる友」  うーん、とっても現実派。
[PR]

by redsunflower | 2007-02-06 11:52 | 読書録 | Trackback | Comments(2)

正・続「君についていこう」向井万起男著 講談社+α文庫

宇宙飛行士向井千秋さんの夫からみた

医師であった向井千秋さんが宇宙飛行士を目指してからと、初飛行を終えたあとのエピソードまで。

先週TVドラマ化されたので、ひさびさに読み返す。


私は

努力して自分の道を歩む女性の生き方が大好きだし、あこがれていることは何度もブログに書いてきた。向井千秋さんもまさしくそういう人です。

だいたい

慶応病院で幼い頃からの夢であった医師、しかも心臓外科医になったら、

大多数の人はそこで転職は考えないでしょう。

でも、

これだと思ったときに、スパッっとなれるかどうかわからない宇宙飛行士に応募したり、それになるために猛烈に努力したり、あこがれるなあ。女性だから、できない、なんて固定観念を持たずに人生を選択していく姿は、すごいなと思います。

宇宙飛行士が決まって、数ヵ月後にチャレンジャーの事故でスペースシャトルの打ち上げが凍結した時の先が見えない苦しさは私なんかの想像もつかない。でも、それを乗り切っての快挙だから、余計拍手したくなります。

「挑戦」できることは「神から与えられたgift」とは、あるアポロ計画に参加した宇宙飛行士の言葉だけど、彼女の生き方にぴったりだと思います。

付け加えると、彼女のこの「業績」が夫によって書かれているところがさらにいいですね!
[PR]

by redsunflower | 2007-01-15 21:35 | 読書録 | Trackback | Comments(2)

「やれば、できる」小柴昌俊 新潮社 2003年

ノーベル物理学賞受賞の小柴先生の自伝。

子供時代に患った小児麻痺のこと、
戦後の東大生時代の苦学など、さまざまなエピソードが語られているが、

なんといっても心惹かれるのは、研究者時代のできごと。

東大修士修了後、アメリカで学位をとり、シカゴ大学の研究員となったのち、日本の旧原子核研究所に戻った先生を待ち受けていたのは、日本独特の「偉い先生の言うことには決してもの申さない」風習。まちがっていることを指摘すると「慎みがない30代の若造が。。」と睨まれて、結局公募で東大に戻られた先生。

東大ではもちろん博士課程後期の学生も指導されるが、私が感銘したのは、学位直前の学生だけでなく、修士、学部生の将来の就職のことを考えて研究テーマを設定されていたということ。それが結局、カミオカンデの研究につながるわけだけど、先生のこの学生に対する配慮は教員として敬服する。ご自身がいわゆる優等生ではなく、「いつも人に助けられてここまできた」という経験からきたものであろうか。

本の表紙の先生の笑顔が素晴らしい。そして、巻末に添えられている「平成13年度 東京大学卒業式 祝辞」も胸に響く。

物理学とは何の縁もない私だけど、こんな大先輩の日本人研究者がいらっしゃることに新年早々嬉しい刺激をうけました!
[PR]

by redsunflower | 2007-01-06 12:30 | 読書録 | Trackback | Comments(0)