「やれば、できる」小柴昌俊 新潮社 2003年

ノーベル物理学賞受賞の小柴先生の自伝。

子供時代に患った小児麻痺のこと、
戦後の東大生時代の苦学など、さまざまなエピソードが語られているが、

なんといっても心惹かれるのは、研究者時代のできごと。

東大修士修了後、アメリカで学位をとり、シカゴ大学の研究員となったのち、日本の旧原子核研究所に戻った先生を待ち受けていたのは、日本独特の「偉い先生の言うことには決してもの申さない」風習。まちがっていることを指摘すると「慎みがない30代の若造が。。」と睨まれて、結局公募で東大に戻られた先生。

東大ではもちろん博士課程後期の学生も指導されるが、私が感銘したのは、学位直前の学生だけでなく、修士、学部生の将来の就職のことを考えて研究テーマを設定されていたということ。それが結局、カミオカンデの研究につながるわけだけど、先生のこの学生に対する配慮は教員として敬服する。ご自身がいわゆる優等生ではなく、「いつも人に助けられてここまできた」という経験からきたものであろうか。

本の表紙の先生の笑顔が素晴らしい。そして、巻末に添えられている「平成13年度 東京大学卒業式 祝辞」も胸に響く。

物理学とは何の縁もない私だけど、こんな大先輩の日本人研究者がいらっしゃることに新年早々嬉しい刺激をうけました!
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by redsunflower | 2007-01-06 12:30 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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