「倚りかからず」 茨木のり子

茨木のり子詩第二弾.

「苦しみの日々 哀しみの日々」

苦しみの日々
悲しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
        (わからないよりはいいだろう)

苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである

受けとめるしかない
折々の小さな棘や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己考察の要素は皆無なのだから


筑摩書房 1999年 

****
「とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである」
というところがいいなあ.周囲にもいるもの,こういう人.私も気をつけなくっちゃ.

最近は落ち込むことが許されないほど,怒涛の生活を送っているが,基本的には私は悲観主義者.だから,計画を立てて,石橋をたたいてわるほど慎重な方.でも,落ち込んだ時も絶対これを次に生かすぞ,という思いも人一倍強い.こんな風に詩になると言葉の力を感じるなあ.
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by redsunflower | 2006-07-27 17:31 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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