「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」二宮敦人著 新潮社

それは、アマゾンの奥地ではなく、東京の上野にあった。

東京藝大、競争率では東大理Ⅲよりも高く、何浪も多い大学。美校と音校が両方ある大学。その昔、大学生の頃、私立の音楽学部に通う知り合いがさらっと言っていた「大学の練習室にこもって、一日普通7~8時間は練習するの(注:授業外で、である)」に衝撃を受けたことがあった。
しかし、実際の学生へのインタビューを交えて紹介する東藝大はさらに衝撃的であった。そして、実学や効率が幅を利かしつつある大学教育で、将来の安定が保証されない4年間にお金もエネルギーも時間も使う学生たち。それを当然とする教授というか大学。

数年に一度スーパー人材が出ればよし、と教育陣も考えているとか。卒業生たちは、その道のプロ、アーティストとして生計を立てることができるのはほんのわずか、卒業生の半数以上は行方不明、そういう大学なのだ。

心に残ったエピソードから。
●高校生から新幹線に乗って東京で藝大の先生にレッスンを受ける。藝大教授=日本を代表する演奏家、レベルのレッスンを受けなくては合格は難しいらしい(レッスン代+新幹線料金、と考える私は小市民だけど)
●バイオリンは3歳くらいから。バイオリンは体に共鳴させて音を出す。だから、体+バイオリンが骨格的に一体化してなくてはいけないらしい。つまりバイオリンなしでは、体が一部を失っていると感じるほどの一体感が必要で、そのためには6歳じゃ遅いらしい。
●学生の持つバイオリンなども家一軒買えるクラスのものもある。「ちょっと、トイレに行くから楽器見てて~」なんて怖くて引き受けられない。
●センター試験は課せられているが、その割合は低い。(そもそも藝大にセンター試験は必要?とも思うけど)

美校エピソードもいっぱいあった。でも、混沌としたイメージで紹介しきれない。

何だかわからない秘境を探検した気分。今度上野に行ったら、実際に探検してみたい。



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by redsunflower | 2016-11-09 11:39 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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