The Last Day

学会へ行く時は,移動中の仕事を考えて,電車でも指定席をとるようにしている.

昨日もそうした.しかし,学会は観光地に所在する某大学であり,休日の朝,観光地向けの電車には当然ながらテンションの高い観光客がたくさん...

隣の座席に座ったおじさんは,席に着くなり缶チューハイをしゅっと空け(まだ,朝8じだよ,と心の中で突っ込みを入れる私),うしろからはおばさんたちの大きな話し声とともにするめのにおいが...

仕事はまったくはかどらず.

あきらめて,ボーっとしていると,

「するめのおばさんたち」の話が耳に入ってきた.どうやらどちらもご主人に先立たれた方たちらしい.話はご主人が他界された時の様子に変わっていった.そのお話を聞くともなしに聞いてしまった.

「うちはあっという間だった.前の日は普通に生活してて,お父さん(ご主人のことらしい)も晩酌もし,風呂も入り新聞読んだりしてた.ただ,手がとても冷たくてね.「お父さん,死人みたいね」と冗談言ってたの.10時ごろお父さんは寝室へいって,私もいいTVもないし,10時半ごろもう寝るつもりで部屋に行ったの.しばらくして,さあ,眠ろうと思ったらお父さんが「胸が痛い」と言い出して...救急車呼ぼうかと聞いたらいやだというし.仕方ないからお隣さんに頼んでかかりつけの○○病院へ連れてもらったの.その時は,自分で歩いていたし,病院も3階まで自分で上がっていったし.診てくれたお医者さんは「何ともないから,帰っていい」といってくれたのよ.

そしたらね,お父さんがいつになく,家に帰るのは嫌だ,病院へ入院するって言い張って.結局お父さんひとり病室へ残して,私も近所の人にあまり待ってもらうのも悪いと思って,「じゃ,おとうさん,明日また来るわね」と言って帰ったの.でもね,その時,お父さんなんか私の方をじっと見ててね.でも,私もお医者さんが帰っていいといったくらいだから,あんまり深く考えずに帰宅したのよ.

家へ着いたら夜12時すぎで,それから寝てちょっとうとうとしていたら,電話が鳴って...病院からだった.「急変しました」って.

あとで聞いたら,お父さんはトイレで倒れてたって.夜中のことだから利用者もあまりいないから,患者さんがトイレを使用しにきて,見つけてくれたらしいの.その時はもう息絶えてたって....昼間だったら倒れても,誰かすぐ見つけてくれただろうに.......

お父さんがどんな気持ちで死んだのかと思うとたまらなくて.でもね,もしね,お父さんが長いこと寝付くようになっていたら,私も介護の疲れとかできつくあたってしまっていたかもしれない.そう考えると,あっという間に,あちらへ逝ってしまったのは私に対する思いやりだったのかもしれない,いやそうだった,と最近ようやく思えるようになった....」

そして,電車は目的地へと到着.
結局,おばさんのお顔は見なかったが,人生さまざま,年を重ねていけば,さまざまな形で別れを経験するとしみじみ思った.特に夫が年上であれば,平均寿命を考えると妻がこういう経験をすることは確率が高いことは肝に銘じておく必要があろう.

The Last day. いつか必ず来る日を後悔しないためにも,毎日を精一杯生きたいと改めて願った.
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by redsunflower | 2006-06-04 19:17 | プライベート | Trackback | Comments(0)

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