「山本美香という生き方」山本美香著 日本テレビ著 新潮文庫

プライベートでは親の病気などいろいろ大変なことが多いが、こういう時こそ背筋がピシッと伸びる本で元気を得たい。

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ジャーナリストの後藤健二氏がイスラム国によって処刑されたのは記憶に新しい。

自己責任という声もあった。実は、私も自己責任という意見に近い考えを持っていた。

しかし、この本を読んで考えが変わった。戦場へ向かうジャーナリストは、もちろん死を覚悟している。しかし、戦場ではそのリスクをできるだけ下げるように、用心を重ね、慎重に取材をするためにできるだけのことをする。しかし、それでも悲劇は起こる。では、戦場取材を止めればいいのか。答えは、NO. そうなればご都合メディアのみの情報しか伝わらない。戦場となった国から逃げることができない市民たちの声を拾い、御用メディアが伝えない戦争の真実の姿をできるだけ伝えようと彼、彼女らは向かうのだ。

山本美香氏は女性ジャーナリストとして、イラクなどの戦地で女性や子どもに接し、彼らの生の声を、姿を伝えた。バクダッドのホテルでは米軍がジャーナリストの滞在するホテルを爆撃し、隣の部屋の記者が爆死した経験を持つ。フセイン元大統領の銅像が引きずり倒されたことは、メディアが盛大に伝えたが、実際にはその時地元の人はわずか30人程度しかいなくて、広場はガラガラだったという。

これらの報告を見ても、戦地の報告は「大本営発表」であり、都合のいい映像や情報しか伝えられないことがわかる。しかし、苦しむのは現地の人だ。医療品もなく負傷してもただ寝かされている大勢の人。それでも、外国人女性の山本氏が取材すると「ありがとう」と言われたこともある。

危険と隣り合わせに真実を伝えるジャーナリストの存在があればこそ、戦争の当事者が好き勝手なことをする抑止力になる、と山本氏は信じていた。

表紙の彼女のまっすぐな視線が印象的だ。

本を読んで自己責任という言葉は、その時点で思考の停止をもたらしてしまうことに気付かされた。






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by redsunflower | 2015-02-17 09:37 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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