捏造の科学者 STAP細胞事件 須田桃子著

単著ではあるが、毎日新聞の記者チームによる取材力の高さを感じさせる本。

「捏造の科学者たち」というタイトルがより適切ではないかと思わせる中身であった。
小保方氏のみではなく、その共著者たち、そして、事件発覚後何とか幕引きをはかろうとする理研。コピペがまかり通った博士論文を受理した大学院。これらが、結局すべて故意であろうとなかろうと捏造の論文を生み出していく素地となった、とメッセージを送っているのではないか。

理研の遅々として進まないSTAP不正論文の審査を、作者は関係者や大学教授への取材を通してスクープとして取り上げた。そして、それが理研を次の審査へと進まざる得ない状況へ進める結果となった。このままでは、日本の科学ジャーナリズムの根幹にかかわると危機感を感じたという表現が本文中に幾度が表れていたのが印象的だ。

著者の日頃の人脈なのか、取材力の賜物なのかわからないが、少なくない研究者が彼女の取材に応じて忌憚ない意見を表明していたことは、日本の科学者の良心をみたようで救われる気がした。「STAPあるある詐欺」とまで言い切った研究者までいたことは驚きであったが。

これだけの取材をこなした著者はあとがきで、小さな子の母でもあり、仕事と家庭の両立に悩みながら仕事をつづけたとある。このような形でのスクープではなく、ぜひ真の発見によるスクープで科学部記者を仕事に駆り立てることができることを心より願う。

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by redsunflower | 2015-02-01 21:30 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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