「あるがままに生きる~心臓外科医の語るいのちの奇跡」 南淵明宏著 永岡書店 2014年

著者は我が国屈指のスーパードクターの心臓外科医。

一昔前のエライお医者さんというのは、権威が白衣を着ている感じだったが(白い巨塔?)、本書はずいぶん印象が違う。最近は、国立大学の医師だけでなく、独立系の?医師の活躍が著しいからそのように感じるのかもしれない。

著者は高尚な目的が当初からあって医学部をめざしたのではないと正直に書かれている(この正直さもいい)。
子どもの時に親の商売が失敗し、いわゆる夜逃げ状態。学費免除の私立中学・高校に通うが、そこでも「協調性のないお前は医者にでもなるしかない」という先生の言葉に、職業として医学部を選んだ。
(当然、勉強はできたのだろうが)
医学部でどのような経験をしたのかについては詳細は省かれているが、日本にいては手術の助手を務めるのもままならない状態に一大決心して、オーストラリアへ。そこで、世界各国から来たドクターたちと切磋琢磨し、心臓外科医のエキスパートといわれるまでになった。

ただ、この本はありきたりのサクセスストーリーではない。
全編に漂う患者に対する優しさ、尊敬。おそらくは毎回死と向き合って手術を行う心臓外科医は生きることと死ぬことの紙一重を誰よりも感じているのかもしれない。

これまで医師が、霊魂や医学を超越した力について語ることはあまりなかったと思うが、心臓移植をしたあと急に食べ物の好みが変わった患者の例(心臓摘出者の好みだった)など、日常の医療行為の中で経験したいわゆる不思議経験も書かれている。

毎回、手術の前はやはりこわいと感じる、と正直なスーパードクター。こんなお医者様なら手術していただきたいと思った。
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by redsunflower | 2015-01-14 17:10 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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