『死にゆく者の礼儀』遥洋子著 筑摩書房

両親の介護経験を書いた本。しかし、著者は同居していたわけではなく、週2回程度実家に通う「ヘルパーさん、同居の兄家族とともにチーム介護」の一員だった。

この本を読んで一筋の光明を見出したような気がする。

私も親と同居しているわけでない。ただ、仕事をしながらたまに顔を出す自分がどのように両親の介護と向き合っていくべきか、模索していた。これまでの介護の本は、主に主たる介護者の視点から書かれているのが多く、なかなか道が見えてこなかった。

結局、正解はない。介護は常に不安定だというのが真実。親の老後だって千差万別、それに応じてしなやかに柔軟に対処していくしかないのだ。ヘルパーさんだって、いろいろな方がおられる。それも現実だ。また、兄や兄嫁には感謝しつつもやはり、習慣などの違いで、微妙なすれ違いもある。ただ、同居していても、そうじゃなくても孤独は孤独。決して、100%安心満足はありえないと著者は説く。

年を取ると「縁側で日向ぼっこして、(おばあちゃんのぽたぽた焼きせんべいの絵のような)老女になる」というのはステレオタイプされた老後なのだ。著者の母親は入院しても隠れてタバコを吸ってボヤ騒ぎを出してしまうほどの猛者だった。それぞれの老後はそれぞれがありのまま受け止めるしかない。修正できるなら、もっと若いうちに変わっていただろう。私も「親が老いたいように老いてもらう、子が前もって悩むことはない。老いもまた人生の一コマ」という気持ちで親と向き合おうと思った。


老いと死を見る機会は親が自分の命をかけて子に見せてくれている最後の教え(p246)という言葉は重い。

タイトルの「死に行く者の礼儀」は親をみとった後、著者が自分が老後を迎えるにあたって、これだけは礼儀として留意しておくべきことを意味する。

「老いを知り、今を生きること」が最強の老いへの準備につながる、とある。

自分も今を大切にしようと改めて思った。

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by redsunflower | 2014-09-27 17:32 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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