「督促OL修行日記」 榎本まみ (文藝春秋)

データの整理がうまくいかない。論文を書きだすと真正のデータかどうか確認するのはもっと大変になるから、面倒でももう一度ゼロから確認する必要がある。細切れに分析をすると気をつけていてもこういうことはあるのだ、仕方ない、と割り切るしかない。今日はうまくいかなくて疲れ果てたので、明日以降確認すべき項目をリストアップして分析は終了することにする。

最近読んだ本から。

タイトルは軽快だし、タイトルのイラストも今風でかわいい。でも、内容は、副題をつけたいくらいだ。(で、つけました。)

督促OL修行日記ー地獄の勤務を私はいかに乗り越えたか

著者は新卒で信販会社に入社し、支払延滞顧客(要するに借りたお金を返さない人)への催促をする部署(コールセンター)に配属される。普通の大学を出て、普通のOLになる予定だった「気弱なヘタレな性格」の著者はそこで、人格が壊れる寸前までの仕事に打ちのめされる。新卒社員に朝7時から23時までの勤務をさせる部署で、ろくなOJTもなしにいきなり借金の返済を求める電話業務(当然、電話回数も回収率もノルマがある)をさせられ、入社半年で10キロもやせてしまう。当然、電話相手はすんなり支払わない場合が多く、怒鳴られ、ボロボロになりながらお金の回収しなくてはならない。心を病んで辞めていく同僚も多い中、著者は独特の回収方法を試行錯誤で編み出し、ついにはクレジットカード回収部門で300名のオペレーターをかかえるようになった。

借金の回収だなんて、映画「難波金融伝」の竹内力のイメージぐらいしかなかったが(本書の信販会社とは性質が異なるだろうけど)、現在では法律などもあり直接回収ではなく、督促電話による回収が主であること、電話では本人や家族以外では個人情報のため会社名ではなく、名字しか名乗れないことなど知らなかったことも多い。しかし、最も印象に残ったのは、怒り狂うお客様(支払延滞顧客)のペースに巻き込まれずに、いかに支払ってもらえるかを追求する姿勢だ。仮に言い負かしたとしても絶対客は支払わない。そうなれば負けなのだ。怒る(どなる)客は自信のなさ、罪悪感の裏返し、という観察眼も鋭いし、お客様に「ありがとうございます」というときは、「瀕死の母親を思い浮かべるくらい真に心をこめてお礼を言わないと気持ちは通じない」、とあるのは心に響いた。

私にはかなりハードルが高い仕事内容だが、困難な業務にありながら、自分で対処する方法を見つけていった著者には感嘆する。

「おわりに」に書かれている言葉。p.236

「世界中のお客様に嫌われるお仕事でも、私はこの仕事が好きです。このお仕事を与えてもらってよかったなあと、今では心から思います。督促だけじゃないですが「仕事」は生きていくために必要なお金を与えてくれるし、一緒に過ごす仲間も与えてくれる。そして、自分を強くする力を与えてくれるかけがえのないものなのです。

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by redsunflower | 2014-04-17 20:00 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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