「英語教師 夏目漱石」 川島幸希著 新潮社

漱石が作家になる前に、英語教師だったことは有名だが、ではいったいどんな教師だったのか、、


本書はさまざまな書簡、書物、エピソードから漱石の教師像を明らかにしている。

だいたいよく見る漱石の写真は、スーツ姿に口ひげをたくわえた「きどった」ものだから、教師としては大したことがなかったのだろう、などと勝手に思っていたが、大間違い。



当時は明治初期に政府が招いたいわゆるお雇い「外国人英語教師」が中心の英語教育から、日本人が英語を教えるという次の世代の英語教育が始まろうとしていたころ。漱石は、試行錯誤を重ねながら、当時として画期的なリスニング問題を入試にとりいれたりして、極めて優れた見識と実行力を示している。

しかし、それほど優れた教員であっても、周りの環境、同僚、校長、生徒の態度によって、うまくいかずに(愛想をつかして?)学校を変わっている。

あの「坊っちゃん」の舞台の松山での観察が、なぜか今の学校にも当てはまるところがあり、おもしろい。

今の書生は学校を旅屋の如く思ふ、金を出して暫く逗留するに過ぎず、(中略)かかる生徒に対する校長は、宿屋の主人の如く教師は番頭丁稚なり(中略)生徒の増長し教員の下落するは当然の事なり。p.155

しかし、面倒見が良い点もあり、「真摯に学ぼう」という学生には、就職の世話や、学費の援助、また自宅での勉強会も開いて長く交流したという。
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by redsunflower | 2010-10-13 11:41 | 読書録 | Trackback | Comments(0)

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